ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは

ピグマリオン効果とは、 アメリカの有名な心理学者ローゼンタールとジェイコブソンが、 小学校での教えを検証するために開発したもの。

「ロバート・ローゼンタール効果」や 「期待効果」とも呼ばれています。

「為せば成る為さねば成らぬ何事も」という言葉に似ています。

ピグマリオン効果とは、 人が心の中で思い、 信じていることが実現するという考え方です。

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ピグマリオン効果の由来

ピグマリオン効果は期待したことが実現した話に由来します。

ピグマリオンはクレタ島に住んでいた彫刻家で、自分の作った像「ガラテア」に恋をしました。

ガラテアあまりの思い入れの強さに、神に「血の通った女にしてくれ、本当の女として愛したい」と頼みました。

アフロディーテはその願いを叶えピグマリオンは彼女と結婚しました。

ピグマリオン効果に関する実験

ラットを使った実験

ロバート・ローゼンタールと同僚のレノラ・ジェイコブソンは、ある実験を行いました。

学生たちに、ラットを使って迷路での行動を研究するよう依頼しました。

実際は個体差はないのですが、あるグループには賢いラットが実験に選ばれたと伝え、もう一方のグループにはバカなラットであることを伝えました。

賢いと伝えられたラットを担当した学生たちは、ラットを優しく扱い、なでたり、課題をこなすために刺激を与えたりしました。

その結果、賢いと伝えたラットは、良い成績を収めました。

生徒を使った実験

ローゼンタールは生徒一人ひとりにIQテストを実施しました。

その後、無作為に子どもたちのサンプルを選び、教師たちに「この子どもたちは学力の高い子どもたちです」と告げました。

学年末に全生徒のテストをやり直したところ全体の点数は上がっていましたが「学力が高い子供」と告げられた生徒の点数が最も伸びていました。

教師の期待が生徒の成績を上げたと考えられます。

ピグマリオン効果のエピソード

部下がミスをしたときは、フォローすることが重要です。

ロックフェラーの助手だったベットフォードは、南米への投資額の40パーセントを管理ミスで失ったことがあります。

ベットフォードは叱られると思いましたが、ロックフェラーが彼の肩を叩いて言いました。

「君はよくやってくれた。予想もしなかった良い仕事をしてくれた。すべて君のおかげだ。」

失敗をほめられた助手は、その後、会社で活躍し、主要メンバーなりました。

ピグマリオン効果のメリットとデメリット

 

ピグマリオン効果に対する批判

心理学者のロバート・L・ソーンダイクは、ピグマリオン効果の実験について次のように批判しました。

  • 使用されたIQテストは低年齢の子供には適していない。しかし、IQの向上が最も見られたのは、まさにこのグループでした。
  • 論理的思考のクラス平均IQスコアは、精神遅滞のレベル(70点未満)でした。観察された子どもたちの改善は、平均への回帰だけで説明することができる。
  • IQの上昇がありえないほど高い生徒が5人いました。これらの学生を分析から除外すれば、ピグマリオン効果はなくなります。

関連心理学用語

ステレオタイプ

ステレオタイプとは、人種、国籍、性的指向などの理由で、ある集団に課される特性のこと。

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ハロー効果とは、1920年にソンダイクによって発見され、1946年に科学的に証明された認知バイアスのこと。

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